既存の生産管理システムだけでは業務が完結せず、Excel、品質システム、設備情報、電話連絡などに情報が分散。例外時は複数の確認が必要でした。
自主制作ポートフォリオ
複雑な現場情報を、
判断できる状態へ整理する
このWork Sampleでは、複数の情報源や関係者にまたがる現場課題を整理し、「何を守るか・何を変えるか・何を確認するか」を明確にして、要件・未決事項・リスクへ落とすところまで行いました。
現行手順をそのまま移すのではなく、As-IsからFit&Gap、To-Be、業務要件・システム要件、未決事項まで段階的に整理しました。
守るべき業務状態、システムに持たせる能力、人が判断する範囲、追加確認が必要な事項を分離しました。
自動車設計業務で約6年間、要求・制約・不具合を整理し、複数案をコスト・重量・日程・影響・リスク等で比較。通常10〜20名程度の関係者と調整しながら、約30件の未完了課題を並行して管理してきました。このケースでも、そこで身につけた課題整理・比較判断・関係者調整・課題推進の進め方を活かしています。
判断例 01–02
「完了」「自動化」をそのまま受け取らず、
判断できる単位へ分ける
製造完了していても、使用できるとは限らない
製造数量100個がすべて「製造完了」していても、品質判定では100個すべてが保留になる可能性があります。
製造完了だけを見て使用可能と判断すると、品質保留中の製品が引当・出庫・次工程投入されるおそれがあります。
「製造できたか」と「使用してよいか」は別の状態として管理すべきと判断しました。
製造状態と品質状態を分離し、保留・不合格品を引当、出庫、次工程投入などに使用させないことを要件としました。
設備停止は自動検知しても、最終判断まで自動化しない
停止後、担当者が設備状況、生産残数、代替設備、材料、納期、後工程への影響などを確認して対応を判断します。
異常把握や必要情報の収集を人手に依存すると、判断を始めるまでに時間がかかります。
異常検知・事実収集・通知と、代替設備への振替や生産順序変更などの最終業務判断を分離しました。
停止検知、判断に必要な情報の取得、必要関係者への通知はシステム化候補とし、正式な振替・順序変更は人が判断する前提としました。
判断例 03 + 共通した考え方
過去の事実を守りながら、
後から変わる管理情報を扱う
材料を実際に払い出した事実は、後から書き換えない
製造指示に対して材料を払い出した後、製造途中で指示が複数に分割される場合があります。
分割後の指示に合わせて過去の払出実績まで書き換えると、実際に「いつ・何を・何個払い出したか」という事実が失われます。一方で、そのままでは分割後の使用先や二重払出を追えません。
実際の払出履歴は事実として保持し、分割後にどの指示・数量へ使用されたかは別の管理情報として扱うべきと判断しました。
元の製造指示、完了実績、分割後指示のつながりを追跡できるようにし、払出実績と後続の使用先管理を分離します。
3つの判断に共通した考え方
「Excelをなくす」「電話をなくす」ではなく、業務として何を成立させる必要があるかを確認する。
変えてはいけない実績、システムが管理する状態、人が責任を持って判断する事項を混同しない。
業務として守る条件を先に決め、その条件をシステムがどの能力で担保するかを整理する。
標準機能・設定・外部連携・追加対応のどれで実現するかは、製品仕様やベンダー確認事項として分離する。
案件全体の整理
個別の判断を、案件全体の上流工程へつなげる
現状把握から、要件・未決事項・リスクまでを一続きで整理しました。
事実整理
システム要件
未決事項・リスク
作成した成果物
これまでの経験を、このケースでどう使ったか
自動車設計で培った「整理・比較・調整」の進め方を、このケースでも使っています。
論点を整理する
要求・制約・不具合を整理し、約30件の未完了課題を並行して管理。
現状業務を分解し、As-IsからFit&Gap、To-Be、未決事項まで順に整理。
判断材料をつくる
コスト・重量・日程・影響・リスクを比較し、案を提案。
事実・状態・人の判断を分け、業務要件・システム要件と確認事項に整理。
前へ進める
通常10〜20名程度の関係者と調整し、設計変更・進捗・反映を管理。
関係者と判断主体を整理し、ベンダー確認事項、未決事項、リスクを分けて管理。
この資料の位置づけ
これまでの実務は自動車設計が中心です。PM、ITシステム導入、AI/DX、MBSE、正式な要求管理は実務経験の範囲外ですが、そこで培った課題整理・比較判断・関係者調整を異なる業務領域でどう活かせるかを具体化するため、この架空ケースを自主制作しました。
特定製品の標準機能でどこまで実現できるかは未確認です。実案件では、製品仕様やベンダー回答を確認したうえで実現方式を決めます。
確認の進め方
確認プロセス|事実から結論へ飛ばず、判断に必要な確認点を切り出す
本文で扱った判断について、「何が起きているか」だけでなく、業務上の意味・責任・例外条件を確認してから要件へ落とします。
| テーマ | ケース上の前提 | 追加で確認すること | 判断への使い方 |
|---|---|---|---|
| 品質保留 | 製造100個完了、品質側では全100個保留。 | 品質状態の正システム、反映タイミング、更新責任、解除条件、自動/手動反映。 | 製造状態と品質状態を分け、どこまでシステム制御するかを決める。 |
| 材料払出・指示分割 | 150個分を払出後、50個製造。残100個を40+60へ分割。 | 現物材料の所在、残材料の扱い、再払出条件、実績追跡単位、二重払出防止条件。 | 過去の払出事実は維持し、後続の使用先関係だけを別管理する判断につなげる。 |
| 設備停止 | 停止後に保全・生産管理へ連絡し、残数・代替設備・材料・納期等を見て人が判断。 | 停止情報の取得元、取得可能項目、検知タイミング、設備側追加機器の要否、通知条件・通知先。 | 自動化可能な「事実取得」と、人が担う「計画判断」の境界を決める。 |
ベンダー確認
ベンダー確認票|設備停止・通知要件を例に、実現可否を具体的に確認する
本文の設備停止例を使い、実装方式を先に決めず、標準機能・IF・追加機器・追加開発の境界を確認事項として整理します。
| # | 確認内容 | 確認する理由 | 状態 |
|---|---|---|---|
| 1 | 設備停止を新システム標準機能だけで検知できるか。 | 標準機能で成立するか、設備連携が必要かを切り分ける。 | 要確認 |
| 2 | 検知に必要な情報源は何か。PLC・設備信号・外部センサー等の追加が必要か。 | システム改修だけで実現できない可能性を早期に把握する。 | 要確認 |
| 3 | 取得可能な情報は何か。設備ID、停止時刻、状態、停止理由等をどこまで取得できるか。 | 通知・影響判断に必要な情報が揃うか確認する。 | 要確認 |
| 4 | 停止検知後、保全・生産管理へ条件付き通知できるか。通知先・条件・方法を設定できるか。 | 無条件通知を避け、行動が必要な相手へ届ける。 | 要確認 |
| 5 | 設備停止状態を生産管理側の画面・計画情報へ反映できるか。 | 通知だけで終わらず、計画変更判断時の参照情報として利用するため。 | 要確認 |
| 6 | 標準で不足する場合、IF追加・追加開発・機器追加の選択肢と概算工数・費用は。 | 採否判断に必要なコスト・実装現実性を確認する。 | 要確認 |
未決事項の管理
未決事項管理|未決事項をそのまま残さず、決定に必要な確認事項と判断主体まで整理する
本文で残した未決事項を、誰が・何を確認し・何を決めれば閉じるかまで整理します。
| テーマ | 現時点の決定 | 未決事項 | 主な判断主体 | 次のアクション |
|---|---|---|---|---|
| 品質状態連携 | 製造完了と品質使用可否を分離。保留品は使用不可。 | 正システム、反映タイミング、責任者、自動/手動。 | 品質・生産管理・IT / ベンダー | 現行責任分界と標準連携可否を確認。 |
| 通知 | 重大かつ行動が必要な事象だけを通知。 | 条件、通知対象者、手段、通知レベル。 | 生産管理・保全・製造・ベンダー | 代表シナリオで条件と受信者を決定。 |
| 計画変更 | 正式変更前に代替案を比較し、人が最終判断。 | 標準機能で仮組み・影響確認が可能か。 | 生産管理・ベンダー | 標準機能デモまたは仕様確認。 |
| 業務スコープ | 生産管理刷新を中心に検討。 | 品質後、梱包、出荷までを今回範囲に含めるか。 | プロジェクト責任者・関係部門 | 部門横断レビューで対象境界を確定。 |
| 承認ルート | 各業務オーナーが確認し、会社指定権限者が最終承認。 | 正式な最終承認者・会議体。 | 顧客側プロジェクト責任者 | ガバナンス確認後に承認フローへ反映。 |